初めての体験 ~会社員が俳優になった数年間~

体験談

「転職」と聞くと、どういう印象を持ちますか。

新しい門出でわくわくしますか?不安になりますか?もしかすると、他に心を売るようで不快感を感じる方も少なくないかもしれませんね。

新しく仕事を始める時は、何事もそうですが、不安になりますよね。ましてや、働き慣れた職場を離れるとなると、より感じてしまうことかと思います。

私も「俳優になる!」と思ったときは非常に悩みました。でも今は、挑戦して良かったと思えます。まだ苦労の連続ではありますが、色んな経験をすることで、また一つ人として成長していると実感しています。

今回はそんな、会社員が異業種に転職してみた経験談をお話しさせていただき、少しでも同じ悩みを感じている方の心が晴れれるようにお話しできればと思います。

俳優になろうと思ってから過ごし始めた期間と、そこで出会った「役者」という仕事と仲間。

これから役者の道に歩みたいと思っている方も、別の仕事を始めようと思う方も、そうでない方も是非ご覧ください!

過去と現代の転職イメージ

転職。1つのことに専念することで、その職人技を身に付けてきた日本人にとっては、非常に避けられてきた言葉。

世界トップレベルのスポーツ選手やダンスパフォーマー、コンマ数ミリの匠の技で芸術品を織り成す職人など、今も昔も、一流の結果を出す人には、尊敬の眼差しと称賛の声が向けられてきました。

そんな職人気質な国民性を持つ日本人にとっては、転職することに対して、どこか否定的な目を向けてしまう方も多いのではないでしょうか。というのも、実は私もその一人なのです。

昔から時代劇をよく観ていた私は、忠義信や忠誠心など、一途に何か、もしくは何かを思うことへの美徳を感じておりました。大人になったら、やることを一つのことに絞りその道のプロになってやると良く思っていたものです。

そんな私も気づけばおじさん。(と10代から言われる年齢。)社会の認識も大きく変化しております。

昔は「24時間働けますか?」などというキャッチフレーズが表すように、ひたすら一つの職場で働き続けるのが当たり前でした。

24時間戦えますか?

ですが今や、会社に勤めながら別会社、あるいは個人の仕事をこなす副業制度や、特定の会社に属さないフリーランスという働き方など、その仕事の方法は多種多様。

会社に所属して働かなくとも、案件を持っているクライアントと繋がれるツールが増えた、ということも、こうした変化をもたらした要因の一つのように思います。

そんな変化を、誕生日を重ねる度に肌で感じつつ、いざ社会人になった私は、周りと同じように会社に入り、サラリーマンとなりました。

この3年間の社会人経験はまた別の記事でお話ししますが、その壮絶な社会人経験を得た私は、ある時ふと、幼い頃の夢である「世界で活躍する俳優になる」ことを思い出し、転職の道を歩みだしたわけでした。

俳優になるために「勉強する」という選択

仕事終わりの帰り道。たまたまあった空き缶を蹴りながら帰っていた時ふと、

「子供の頃はよく、缶とか石ころとか、こうやって蹴って遊んだな~」

なんて思いながら帰った自宅で、ポツンと一人、ソファーで考えました。

「あの時、どんな将来を夢に思ってたっけ?」

この頃は、一日中職場にいることがほとんどで、事務所に泊まりつつ作業することもしばしばありました。そんな時にふと思ったのです。このままの仕事を将来続けたとして、自分の叶えたいものは得られるのだろうか、と。

答えは「No」。即答でした。

それからというもの、転職して俳優になるためにはどうすればいいのか、ひたすらGoogleを使って調べまくる日々。溜まっていく仕事のタスクと検索履歴を見つめて、「何してんだろ」と思うこともありましたが、ただ前に進みたくてひたすら調べてました。

劇団に入る?付き人になる?事務所におしかける?ひたすらにオーディション?経験がないから分からないことが多すぎる…そもそも演技って何?どうすれば…………

調べれば調べるほど行き詰まり、「もう諦めるか?今の生活でも十分暮らせてるし。」なんて思ってしまう度に、「現状に甘えるな!」とふるいたせていました。

仕事の休みの日。いつものように公園で日向ぼっこ(この頃のマイブーム)していると、ふと小さい子がこんなお願いしているのを聞いていました。

「ママぁ、僕も英語のお勉強してみたい!」

え、どんだけ偉い子なのぉ!?僕なんてゲーム買ってぇしか言ったことないよぉ??!

いやぁ、最近の子は本当に凄いな…英語なんてどこで学びたいって思ったんだろうなぁ…なんて感心している時に思ったのです。

「あれ、今の自分も同じじゃない?」

やったことない何かを学びたいといこと。この子供は英語、で私は演技。子供の時は親が代わりに考えてくれるけれど、その結果、自分はどこで学んだっけ?水泳、そろばん、弓道…全部、何でできるようになったっけ…

そう、そこから導きだしたのです。

「そうだ。俳優学校に通おう。」

俳優になりたいと思って、ただ調べていた行動から少し前に進んだ瞬間でした。

勉強を楽しむ女の子の写真
学ぶときは子供のように、楽しくね。

人生初のオーディションと俳優学校への入学

それからというもの、今度はひたすらGoogleに「俳優 学校 役者になる」なんてランダムに打ち込んでは、学校を調べていきました。

調べ始めると意外と多いことに驚き。年齢制限もあったりなかったり。通い方も、平日3日間や週末だけ通うなどさまざま。


テアトルアカデミーオフィシャルサイト

俳優専攻 |【声優・俳優専門の学校】総合学園ヒューマンアカデミー パフォーミングアーツカレッジ

【公式】東京俳優・映画&放送専門学校 | 俳優・映画・映像のプロが作った学校

東京の演技スクール・演劇学校・ワークショップは俳優養成所のUPS

東映俳優養成所|京都の撮影所で学ぶ


色々調べた結果、どうせなら自分の将来像に近い学校で学ぼうと、とあるアカデミーに応募。この時は本当に緊張して、資料送る前に数10回書面を見直したのを覚えています。

どこのアカデミーかはまだ内緒です。その時が来たらのお楽しみに。(笑)

それから初のオーディション。ド緊張で受けたものの、数日後に合格の連絡がありました。この時は本当に嬉しかった。叫んでた。いや、嬉しかったですね!

(後日、入学オーディションでは人格を観られていただけで、演技はあまり基準ではないと聞いたときには、それはもう……でも受かったんだもんね!)

アカデミーでの経験と挫折

海岸で、目の前のゴミを拾うか悩む少年の写真

そして無事、アカデミーに通い始め数年間ではありますが、とても濃い時間を送ることができました。

アカデミーの選定条件

とても濃い期間が過ごせた、というのも、自分で学びたいことが学べた、ということが大きくあります。学びたいこととは、入学する上でアカデミーを調べていた際に考えていたもの。当時はこういったことを考えて動いていました。

  • 本格的にスクーリングできるところ(週3日以上のレッスン)
  • 学んだ俳優の多くが数年後に活躍している
  • 欲を言えば、在学中でも、著名な作品に出られるようなチャンスがあること
  • 現役、もしくはキャリアを積んだ講師陣が、直接指導してくださること
  • 海外作品にも強く、英語での演技も平行して学べるところ
  • 学費は……出きるだけ安くなるところ……
  • 国内でも経験を踏めるように、卒業時に事務所からオファーがあるようなところ
  • 自分の目指したい演技が学べるところ   etc……

在学中に感じた、特に選んで良かったと思う項目は、「講師陣が経験豊富である」というところ。実際に演技の稽古をしていると、本当に難しい。人によっては「単純で純粋に楽しめる」という方もいますが、普段から頭でっかちに考えてしまう私にとっては、感覚を鋭く考えるようで考えないようにすることは本当に難しい…。

そしてもちろん、それとともに分からないことが多くある。そして学校でもするように、分からないことは先生に聞く。でもここで、その「分からないこと」を分かってくれる人でなくてはなかなか話が進まない。だからこそ、経験値の高い講師陣に伺えることで、少しでも良い感覚につながるというもの。

実際に学び始めたからこそ、大事だったなと感じる瞬間でした。

調べるときには、どんな講師陣が教えてくださるのか、そして可能であればお名前を漢字などで正確に教えていただき直接調べてみるとよいかと思います。

豊富な経験、そして挫折

そんな濃い時間を過ごしたアカデミーでは、非常に多くの経験を積むことができました。

  • 役者としての体の鍛え方
  • 五感を養う大切さ
  • いかなる時・役でも「自分を持つ」必要性
  • シーンや台本の読み方
  • セリフと自分を結びつけること
  • 撮影現場の動き
  • 舞台や撮影現場での体さばき
  • 稽古と実践   etc…

ここ数年でみっちりと学ぶ機会が出たのは良いことですが、正直学ぶことが多すぎて卒業するまで処理しきれませんでした(笑)そしてそれは同時に挫折を経験することに。

習い始めの1年間は無我夢中で、自分でいうのもなんですが、毎日を生き生きと過ごしていました。しかし基本を学んだあと、その後が分からなかった。

一つの作品に出演した際、台本覚えることで精一杯で役を考えられず、役を考えられても生きることができず…本当にそれはそれは大変で大変で、毎日やけ食いの毎日でした(笑)何を考えても役の気持ちが分からず、結局は表面だけの演技に頼ってしまうありさま。まだまだ勉強が足りないのに卒業してしまう焦り。

教えてくれたこともろくにできないなんてと悲嘆に暮れていた時、とある講師の方がこうおっしゃっていました。

「俳優の世界とはそういうもの。正解なんてないし、役を生きようとしてもそうそうできるものでもない。勉強にも役作りにも限りはない。」

30年以上お仕事されている方であっても、まだまだこれからだと話す姿を見て、自分の考えがどれだけ生意気だったかを知りました。

卒業した今でも、それはまだまだ続いています。

まとめ|サラリーマンの卒業と始まる俳優という仕事

卒業した今、感じる不安や期待。またこれから新しい人生が始まると思うと、人生って本当にジェットコースターだなと感じます。

何かを始めることでわくわくしていた子供時代から、失敗への恐怖とともに「変わりたくない」と後ろ向きに歩いてしまう社会人時代。

どっちがよいか?なんてことはどちらでもいいと、今はそう思います。

この数年で思った大事ことは、「やりたいことがあれば、やってみること」ただそれだけ。

失敗は当たりまえ。大人と子供で分ける必要はない。行動を起こし努力することはいつだって同じ。

何かを変えたい想いさえあれば、いつだって自分は変えられます。成功なんて行動できた時から成功なんです。

そんなこんなでまた今日も、目の前にあるゴミを拾うところから始めようと思う、そんな曇り空の下の私でした!

では、また。

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